熊本ジャズライブガイド
セッションマナー講座

「オリジナル曲」とか「オリジナルアレンジ」は基本遠慮してください

今回はタイトルが「お願い」の形になっております。
あるいは「心狭すぎじゃないですか?」「できないんですか?」「譜面が読めないんですか?」 とホストミュージシャンを責める向きもあるかもしれません。
ですが、このコラムを読んだ後には、みなさん納得していただけることと思います。

まずオリジナル曲についてですが、 この場合作曲者は、もちろんその参加者自身である場合がほとんどだと思います。
つくった本人は、もちろんその曲が「面白い」とか「自信がある」という気持ちがあるから持ってきているのでしょう。
しかし、その曲がたとえ傑作であったとしても、セッションに持ち込むべきではありません。なぜか。

理由その1
セッションで演奏される曲は、時代の天才たちがつくり、 長年ジャズミュージシャンに愛され続けなければならないというとんでもない試練を乗り越えた名曲であるのに対し、 そのオリジナル曲はそうではないという現実があるから。

理由その2
ジャズを学ぶものにとって、優先されるべきは「なるべくたくさんのスタンダードやジャズチューンを覚える」こと。
他人のオリジナル曲を覚えさせることは、初対面のセッション相手に強要すべきでないということは推察できるのではないでしょうか。

理由その3
セッションで頻繁に演奏される曲は、みんなが知っているからこそ、演奏の出来の比較がしやすいのです。
メロディやコード進行が共通認識されているからこそ、その場の演奏の良し悪しを自分なりに判断したり、 いい演奏を耳にしたら参考にしたりもできるわけです。
オリジナル曲を演奏しているのを聴いても、誰もそれをケーススタディすることが難しいですよね。

というような理由から、やはりセッションにオリジナル曲を持ち込むことは、遠慮した方がいいでしょう。
もちろん、セッションといってもいろいろありますから、気のおけない身内だけが集まるようなセッションであればその限りではありませんが、 誰が来るかわからないパブリックなセッションでは、みんなが知っているセッションナンバーで、演奏する人も聞いている人も楽しめるようにしましょう。

オリジナルアレンジが施された譜面も同じような理由から、やはり持ち込むことは避けた方が賢明でしょう。
それよりも定番のキメ、2ndリフ、ブリッジ、イントロ・エンディングなどを、どう処置していくかというところに、 セッションの醍醐味があり、先人たちの残してくれた遺産(曲そのもの、演奏音源)に対するリスペクトを表すことにもなるのです。


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