熊本ジャズライブガイド
セッションマナー講座
★「歌伴」および「ボーカリストの参加」について
セッションに参加して、順番が回ってきました。
ステージで1曲演奏が終わったところで、
ホストの方から「次の曲、ボーカルものなんですが、そのまま入っていただけますか?」と言われる。
そういう場面ってけっこう見かけますね。
ちなみにボーカリストの伴奏をすることを「歌伴」と業界用語的に言いますので、覚えておくとよいでしょう。
さて、よく見かけますが、「あちゃー」な状態になりやすいのも、
このボーカルものを演奏する時なんですよね。
歌伴をする楽器演奏者、そしてボーカリストはどういうことに気をつければ、
お互いにストレスを感じることなく楽しい時間を過ごせるのでしょうか?
●歌伴側のポイント
まずはあたたかく迎えてあげる気持ちが大事だと思います。
というのは、ボーカリストの方というのはたいていの場合、もともと歌が上手い場合が多く、
楽器をする方がするようなトレーニングをしたりとか、
セッションについてのマナーに触れる機会を持ったりとかが少ない場合が多いという傾向があると思うからです。
だからといって特別扱いするわけではないですが、
もらった譜面に不備があろうが、曲の進行のさせ方が一方的であろうが、
演奏している時点では目くじらを立てることなく受け入れてあげる気持ちが大事だと思います。
アドバイスなどは演奏の後ですればいいわけです。
そして伴奏の最大のポイントは、セッションならではの「その場で即興的にコミュニケーションすることの楽しさ」
に気づいてもらえるような演奏にするべきだということだと思います。
ボーカリストの方は、「カラオケで歌う」感覚から抜け出せていない場合が多く、
したがって、あらかじめ自分が決めたとおりに歌うことしか知らないという状態です。
ところで、その時の気分や成り行きなど、
必然性を持った変化を楽しむのがジャズの大きな特長の一つであり、
演奏する際の醍醐味の一つですよね。
それを口だけで説明するのはけっこう難しいことだと思いますが、
論より証拠ということでその場の演奏でそれを示してあげることができれば、
ボーカリストをジャズミュージシャンに進化させるという、
それはお互いに素晴らしい経験ということになると思います。
そのためには、「分かりやすさ」に配慮することも必要になってくることでしょう。
●ボーカリスト側のポイント
「歌わせていただきます。すみません、すみません。」
と最初から謝っていらっしゃる方をよく見かけるような気がします。
気持ちは分からなくもないですが、身も蓋もない言い方かもしれませんが伴奏する側からするとその行為には何の意味もありません。
だって伴奏者側も緊張しているだけだったりするわけですし、
お互い同じステージに立つミュージシャン同士であって上下関係はありませんから。
それよりもっと実務的にいきましょう。
どんなグルーブ(スイングなのか、ボサノバなのか、とか)なのか、
テンポはどのくらいか、イントロやエンディングは決まっているのか、
そうしたことをしっかりと自分の言葉で伝えることを、
大袈裟に言えば歌の練習と同じくらいシミュレーションしてくるといいと思います。
そして、自分の表現に集中しながらも、
伴奏者たちがいろんな合図を実は発していたりするので、
意識をそちらにも、なるべく向けてみましょう。
初心者のうちは気がつかないかもしれませんが、意識さえしていれば気づく確率は増えますし、
対処の仕方が分かればコミュニケーション能力が高まり、
ただ歌詞を間違えなく歌えばいいというものではないということに気がつき、より楽しめるようなるでしょう。
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