熊本ジャズライブガイド
セッションマナー講座

さあ何を演奏する?「その場で決める場合と、事前に決めておく場合」

前回は精神論的な内容でしたが、今回は結構実践的なお話しになります。
何せ思いつきで書いているもので(笑)

ジャズのお店のセッションに参加する場合、「なんという曲を演奏しますか?」と、 お店の人やホストミュージシャンに尋ねられたりしますよね。
ここ最近は、氏名、担当楽器、曲名を記入する紙を用意しているお店もあったりして、システマティックになっているお店もあるくらいですね。

そういう記入用紙というのは、運営者側の知恵ですよね。
なるべくたくさんの参加者が、スムーズに演奏していけるように、 司会役のホストミュージシャンがうまく進行していけるように準備してあるわけです。

でも僕が若い頃を思い出してみると、周りは上手な先輩ばかりのセッションにおいては、 そんな紙なんてあるわけありませんでした。
1曲終わると、間髪入れず誰かが勝手に次の曲の演奏を始め、 その曲を知っている人は参加する。それを延々と繰り返す。
それが日常的なセッションでした。とっとと決まるから、必要ないわけですね。

つまり、そういう紙が必要というのは、 言い換えれば昨今のセッションでは「なかなか曲が決まらないから」という理由もあるのではないでしょうか?

はい、次の人、誰々さん、曲は何を演奏されますか?と聞かれ、「えーと」なんて言いながら、 やおら市販のリードシートブックを広げてさんざん迷い、曲が決まったかと思ったら、 なんとそれから自分の楽器をケースから取り出しはじめる。
そんな参加者ばっかりだと、全員演奏するまでにむちゃくちゃ時間がかかって、空気もダレきっちゃいますよね。

それは分かっているけど、やっぱり「えーと」と迷いたいのが中級者の心理なのかも知れません。
なぜかと言えば、初心者は迷う余裕はありませんからね。 事前に必死に準備してきた曲をやるだけです。
「でも僕ちゃんはもう初心者じゃないから、 迷うくらいレパートリーがありますよ。」という潜在的なアピールという要素もあるのかも(笑)

でも上達のためにはどっちがいいかと言えば、 家を出る時からちゃんと演奏したい曲を決めておく方が良いに決まっています。

どのくらいのテンポでやりたいのか、どんなリズムでやりたいのか、 イントロやエンディングはどうすればいいのか、 そういうことをしっかりイメージしてから演奏に望んだ方が、行き当たりばったりにやるよりいい結果を残すであろうことは、誰にでも分かることですよね。

ですから、周りに迷惑をかけないようにする意味でも、演奏を充実したものにする意味でも、 そのセッションで演奏したい曲を、事前に数曲は決めておくようにしていただきたいものです。

ただし、行き当たりばったりに選曲することにも利点がないわけではありません。
その場の思いつきで選曲した曲を上手に演奏できたら、そりゃかっこいいに決まってますもんね(笑)
それは半分は冗談ですが、かっこつけるという以外の利点があります。
1つは、現場対応力を鍛えることができるということです。
成り行きで選んだ曲でも、事前に準備した曲と同じようなクオリティで演奏できるか、 スムーズに進行させていけるか、ということにチャレンジすることができます。
そして、そういうチャレンジをすることで自分の本当の意味での実力を測ることができると言えるでしょう。

というわけで、事前に数曲は準備しておき、場合によっては成り行き任せで参加する曲があってもいい。
そのくらいの感覚でセッションに参加するという意識が望ましいと思います。


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