熊本
ジャズライブガイド

スタンダード解釈

The Shadow of Your Smile

■コード進行
||:F#m7|B7|Em7|A7|
|Am7|D7|1.GM7|CM7||
|F#m7(b5)|B7|Em|Em|
|C#m7(b5)|F#7|B7sus4|B7:||
|2.Bm7(b5)|E7||
|Am7|Cm7F7|Bm7|E7|
|A7|D7|GM|(F#m7(b5)B7)||

邦題は「いそしぎ」って、昔曲解説でも取り上げましたね。この曲が主題曲となっている映画のタイトルが、邦題に使われているというちょっとややこしい話でした。f(^_^;
ABAC形式32小節の曲ですね。

■解釈
●1〜4小節:のっけから難しいですね。f(^_^;
1小節目のF#m7が曲者です。Emトニックのサブドミナントコードですから、F#m7(b7)を使うのが公式どおりの考え方のはず…。と考えることができた人は偉いです。しかし、メロディに注目すると、1小節目の頭からEmトニックではメジャー6にあたるC#の音が使われていて、それがこの曲の大きな特徴となっています。さてどう考えたらいいでしょうか?

ひとつは「とにかくm7なんだからドリアンでしょ」と考えるやり方。それも正解です。以下、2小節目は公式どおりHmp5blowスケール、3小節目はエオリアン、4小節目は「とにかくセブンスなんだからミクソリディアン」と考える。
例外ルールを増やすのが苦でない方には、おすすめの考え方ですね。今年の夏は寒かった…。それは冷害。f(-_-;

もうひとつはトニックマイナーに適応するスケールを、エオリアンではなくてドリアンと考えるやり方があります。Imがドリアンなら、IIはフリジアンになって都合よくm7が形成されます。V7だけはHmp5bスケールを適用しますが、この考え方の便利なところは4小節目のA7もダイアトニックでそのままミクソリディアンが適応できる点です。合理性を重んじる方におすすめの考え方ですが、ちょっと難しいかな?思考の訓練として、理解できるよう努力してみるといいかも。

●5〜8小節:近親調であるGMへのツーファイブですね。Am7:ドリアン、D7:ミクソリディアン、GM7:イオニアン、CM7:リディアンです。

●9〜12小節:Emトニックへのツーファイブですね。F#m7(b5):ロクリアン、B7:Hmp5blowスケール、Em:エオリアンです。ちなみに5〜12小節のコード進行は、キーは違えど「枯葉」と同じですね。^_^)b

●13,14小節:仮想Bmへのツーファイブと考え、C#m7(b5):ロクリアン、F#7:Hmp5blowスケールを適用します。

●15,16小節:7sus4で何をやったらいいのか分からないという人はけっこういると思います。4度堆積コードと考えると、他のコードで3度堆積に慣れている分、難しいです。こういう場合は分数コードと考えるとやりやすいかもしれません。この場合、B7sus4≒F#m7(b5)/Bと考え、アドリブの際は分子のF#m7(b5):ロクリアンのつもりでフレージングします。B7:Hmp5blowスケール。

●23,24小節:Bm7(b5)はBm7でも構いませんが、b5の方がもりあがりますね。「ヘンリー・マンシーニのm7(b5)」というやつでしょうか…。f(^_^;IV#じゃないから、ちょっと違いますね。
Amへのツーファイブと考え、Bm7(b5):ロクリアン、E7:Hmp5blowスケール。

●25,26小節:ダイアトニックのAm7:ドリアン。Cm7→F7は、GM(実際は代理コードのBm7)に向かうIVm7→bVII7と考え、Cm7:ドリアン、F7:ミクソリディアン。

●27,28小節:Bm7はGM7の代理コードと考えるなら、フリジアンを適用。仮想AMへのツーファイブと考え、Bm7:ドリアン、E7:ミクソリディアンでも可。

●29〜31小節:29小節目は、いわゆるセカンダリー・ドミナントというやつですね。トニックGM7のドミナントであるD7に対して、さらにそのドミナントコードであるA7が存在する形です。とりあえず、A7:ミクソリディアン、D7:ミクソリディアン、GM7:イオニアンで大丈夫です。A7→Em7A7、D7→Am7D7と因数分解してバップフレーズをちりばめてもいいですが、A7:ホールトーンスケールとするとボサノバチックな感じがでると思います。

●32小節:ターンバックとしてEmへのツーファイブを入れますが、アタマのコードはF#m7なので注意が必要です。F#m7(b5):ロクリアン、B7:Hmp5blowスケール。

■できれば覚えたい小技
●3小節目の3,4拍目にEm(#5)を入れると、Em→Em(#5)→A7となり、内声にB→C→C#というラインが出来ます。
●似たような感じで7小節目の3,4拍目にGM(#5)を入れると、GM7→GM7(#5)→CM7となり、内声にD→D#→Eというラインが出来ます。
●12小節目Emのところで、1,2拍目EmM7/D#、3,4拍目Em7/Dを入れたりします。Emが2小節も続くのでサウンドに変化を入れる役割と、次のC#m7(b5)へスムーズに移行する役割との二つの役割をこなしています。
以上、和声楽器の人はコードを入れるだけでおしゃれ。フレージングにも取り入れると、いわゆるツーファイブフレーズとは一味違うアクセントにもなるという、美味しい小技でした。

ま、とにかく最初の4小節をどう料理するかが、この曲の大きなポイントですね。
一覧へ戻る

TOPへ戻る