熊本
ジャズライブガイド

スタンダード解釈

Bye Bye Blackbird

■コード進行
||FM|FM|Gm7 C7|FM|
|FM/A|Abdim7|Gm7|C7||
||Gm7|D7|Gm7|C7|
|Gm7|C7|FM|C7||
||FM|E7(b13)|Eb7|D7|
|Gm7|C7|DbM7|C7||
||FM|FM|Am7|D7|
|Gm7|C7|FM D7|Gm7 C7||

普通ジャズ・スタンダードには「AABA」とか「ABAC」という形式が多いのですが、この曲はどちらにもあてはまらず、強いて言えば「ABCA'」でしょうか。美しいメロディが淡々と流れていく感じで、ここぞ!というようなクライマックスがない曲です。その分コード進行も平板な動きで、所々に薬味が効いているといったところでしょうか?平板な動きだけに、どこをやっているか見失う、いわゆる「ロスト」状態に陥りやすいというのが、唯一この曲の厄介なところですが、この薬味コードを目印代わりに聞き取るようにすれば、大丈夫だと思います。

■解釈
●1〜4小節:3小節目にツーファイブがでてきますが、トニックであるFM一発と考えてもいいと思います。つまりFイオニアンですね。

●5小節:分子コードがFMですからFイオニアンで大丈夫です。しかしアドリブのときはAm7と解釈してAドリアンを適用してもかまいません。

●6小節:ディミニッシュコードは公式的にディミニッシュスケール。Abディミニッシュスケールの構成音は、「Ab,Bb,B,Db,D,E,F,G」です。スケールの音を並べるだけでもかっこいいと思いますが、中・上級者はAbdim7=G7(b9)=E7(b9)などと考えてフレージングしたりします。

●7,8小節:FMへのツーファイブですね。Gm7→Gドリアン、C7→Cミクソリディアン。

●10小節:ここもGmでもかまわないけど、あんまり同じコードが続くのもなんだよねって感じで(ホントか、笑)、ドミナントモーションを入れて変化をつけた形になっています。Gm7をマイナートニックに見立ててのドミナントD7ですから、D7→Dhmp5blowスケールですね。

●17〜20小節:薬味コードその1です。最初のトニックメジャー以降セブンスコードが半音下降していく形になっています。代理コードや、セカンダリードミナントを使って理論的に説明することは可能ですが、長くなりますので省略します。ヒントを含めて使えるスケールを紹介するにとどめます。
E7(b13)→仮想Amへのドミナント7thと考え、Ehmp5blowスケールを適用。
Eb7→21小節のGm7に対するVIb7と考え、Ebリディアン7thスケールを適用。
D7→21小節のGm7に対するV7と考え、Dhmp5blowスケールを適用。
…とはいいましたが、アドリブの実践的にはそれぞれ全部リディアン7thを使ったりもします。

●23小節:薬味コードその2です。Gm7からC7と来て普通ならFMが入るべきところにDbM7が入っていますね。コードを弾いてみると、「ん?終わったような終わらないような…」という不思議な終止感が感じられると思います。このトニックの代わりにDbM7(つまりVIbM7)が入ったり、GbM7(つまりIIbM7)が入ったりする場合というのは偽終止の一種と考えることができます。
偽終止というのは、「本来楽曲の終わりであるはずの所に、さらに曲を続けたいような場合に用いられる手法」のことです。この騙されたような感じを、コード楽器で確認してみてください。
DbM7→Dbリディアンスケールです。

●31,32小節:この曲は最初2ビートでやることが多いので、2ビートのまま、次のコーラスに行きたい場合は、このターンバックを弾かない方がいい場合が多いです。アドリブ奏者のソロがもりあがってきたときなど、「ここぞ」というときはこのターンバックを入れて、スムーズに4ビートに移行するきっかけとして使うとよいでしょう。

基本的にFM一発という感じで演奏しても、それなりにはまったように聞こえる曲です。しかし、以上の薬味コードの処理ができるようになれば、かなりおいしいと思いますので、チャレンジしてみてください。
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